Monthly Archives: 11月 2017

[琵琶読本] 流石に延寿太夫

 清元の延寿太夫がある日某大家にご祝事があるので演奏依頼を受けてその邸へ出かけた。ところがどうぞこちらへと案内されるままに座敷へ通ったが座布団がない、座敷にはその一族がずらりと並んで座っている。延寿はその座敷に突っ立った […]

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[琵琶読本] 聴衆は不言実行者

 不言実行という言葉があるが、その実際を模範的に示す者は実に聴衆である。”例えば我々が”こうしたい、ああして欲しいと注文を付けたり、または憎まれ口を叩くのは内心琵琶がかわいいためで、琵琶と離れるこ […]

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[琵琶読本] 覆手の材料

 覆手(ブリッジ)の材料は「島桑」、又は「薩摩桑」らが一番よろしく、それも柾目に限る。私は柾目以外の材料では絶対に作らない。板目は駄目である、板目で作った音はボンボンと大きな音はするがしまりがない。したがって力がない、そ […]

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[琵琶読本] 琵琶の材料

 琵琶の材料は昔から「一桑クワ、二桜サクラ、三欅ケヤキ」と言い伝えている。これは実検からでた言葉で私も過去の実検からこの説は肯定する。私はまだ学生時代から今日までに約数千面に登る数の琵琶を作った。それも一面一面研究しなが […]

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[琵琶読本] 婦人用の琵琶

 三味線でも、太棹や細棹などの種数(※1)がある、そしてその細棹のなかでも長唄、清元、常磐津、新内、小唄等々その芸の質によってそれぞれ異なった作りがある。洋楽でも男の持つものと女の持つものと皆、それぞれ楽器に相違がある。 […]

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[琵琶読本] 琵琶はどんなものが佳いか

 琵琶はどんなものが佳いかということについて故木上先生のお教えでは 一、 自分で弾いてうるさくなく 二、 音の揃った 三、 声を取らない 四、 遠音の刺す 五、 ゆったりとした 六、 余韻に力のある 以上は音における佳い […]

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[最近琵琶発達史] 第二章 薩の国境を出で

 明治の初年、早くも県人会その他の席上に出でて薩摩琵琶を東都(東京)に紹介したのは山下利助君であった。「淵源録にも『山下利助は人も知る如く愛嬌滑稽を以て称せられた云々』と書いてあるがごとく当時気軽に各所へ出演したであろう […]

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[琵琶読本] 楽器に対する観念

 良く聞く話だが「まだ練習中だから粗末な楽器でたくさんだ」といって良い品を選ばず安直なものを望む人がかなりたくさんあるが、これは一考を要する問題だ。

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[琵琶読本] 婦人の芸について

 一家の主婦がグータラであったり、おちゃっぴーであったりぞろっぺえであったりした場合は必ずろくな事はない。家中の締まりはつかないし、子供だって碌なものはできやしない。世に悪妻を持つほど不孝なことはあるまい。反対に良妻を持 […]

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[琵琶読本] 素人の稽古に対する考えについて

「自分はこれを職業にするのではない、自分で聴いて楽しめれば良いのだからそんなに深くやることもない、自分一人で楽しめる程度でたくさんだ」  こういう意見は琵琶界に限らず何の芸界においても素人間には共通した考えのように見受け […]

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